Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅみのいでん

趣味の遺伝

夏目 漱石

Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

以上の理由で訪問はちと辟易の体である。もっとも日記は読みたくない事もない。泣かれるのも少しなら厭とは云わない。元々木や石で出来上ったと云う訳ではないから人の不幸に対して一滴の同情くらいは優に表し得る男であるがいかんせん性来余り口の製造に念が入っておらんので応対に窮する。御母さんがまああなた聞いて下さいましと啜り上げてくると、何と受けていいか分らない。それを無理矢理に体裁を繕ろって半間に調子を合せようとするとせっかくの慰藉的好意が水泡と変化するのみならず、時には思いも寄らぬ結果を呈出して熱湯とまで沸騰する事がある。これでは慰めに行ったのか怒らせに行ったのか先方でも了解に苦しむだろう。行きさえしなければ薬も盛らん代りに毒も進めぬ訳だから危険はない。訪問はいずれその内として、まず今日は見合せよう。

訪問は見合せる事にしたが、昨日の新橋事件を思い出すと、どうも浩さんの事が気に掛ってならない。何らかの手段で親友を弔ってやらねばならん。悼亡の句などは出来る柄でない。文才があれば平生の交際をそのまま記述して雑誌にでも投書するがこの筆ではそれも駄目と。何かないかな? うむあるある寺参りだ。