Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme
白山方面とすれば本郷の郵便局へ来んとも限らん。しかし白山だって広い。名前も分らんものを探ねて歩いたって、そう急に知れる訳がない。とにかく今夜の間に合うような簡略な問題ではない。仕方がないから晩食を済ましてその晩はそれぎり寝る事にした。実は書物を読んでも何が書いてあるか茫々として海に対するような感があるから、やむをえず床へ這入ったのだが、さて夜具の中でも思う通りにはならんもので、終夜安眠が出来なかった。
翌日学校へ出て平常の通り講義はしたが、例の事件が気になっていつものように授業に身が入らない。控所へ来ても他の職員と話しをする気にならん。学校の退けるのを待ちかねて、その足で寂光院へ来て見たが、女の姿は見えない。昨日の菊が鮮やかに竹藪の緑に映じて雪の団子のように見えるばかりだ。それから白山から原町、林町の辺をぐるぐる廻って歩いたがやはり何らの手懸りもない。その晩は疲労のため寝る事だけはよく寝た。しかし朝になって授業が面白く出来ないのは昨日と変る事はなかった。三日目に教員の一人を捕まえて君白山方面に美人がいるかなと尋ねて見たら、うむ沢山いる、あっちへ引越したまえと云った。