Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おどるちへいせん

踊る地平線(上)

谷 譲次

Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

東京にいるT露西亜大使の夫人だそうだ。それはいいが、ここはハルビンでも料理のいいほうだというけれど、その食物の猛悪なのには降参せざるを得ない。第一に、ボリシチとか号するスウプに類したものには油が玉のように浮んで、二きれの偉大な肉が煩悶の極唸り声を上げている。つぎなるザクシカというのは、早く言えば、若くして悶死した魚の腐肉だ。そのほかガグリシチにしろペテロシュカにしろギザルシカにしろ凡て大同小異である。やたらに量が多いばかりでとても口にする気になれない。もっともカトレイタだのビフシュテイキなんかと称して西欧めいたのもあるにはあるが、ガグリシチやペテロシュカの惨状を一見しただけで、他を試みる必要のないほど料理人の腕はわかる。で、色電灯と散乱する音譜とウンテルベルゲル氏の職業用微笑にいくらかの大洋を献じたのち、私達は空腹と連れ立って食堂をあとにした。ただビイフシュトロウゲンという奇怪な一皿と、ブルンビアなるアイスクリイムに厚化粧をほどこしたようなデザアトだけは、いささか人類の食に適することをウンテルベルゲル氏の名誉のためにつけ足しておこう。

ホテルを出た私たちをタキシのむれと宵闇が待ちかまえていた。