Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
科学はいま人間をいい気にあまやかしている。一たい、この思いあがったちょこ才きわまる科学を過信し、あの、生を享けて以来頭上にいただいてきた大空へ、図々しくもぬけぬけと舞い上ったりしてもいいものだろうか。それとも、原始人の恭敬篤実なこころにかえり、天を懼れ頭を垂れ、鞠躬如、かたつむりのごとく遅々として地を往くほうが、すくなくともこのさい「穏当」ではなかろうか。惟うに、人類――ことに東洋の――にとって、空は直ちにみそらであり天上であり、すでに立派に宗教概念の領域に属する。この聖なる空間をぷろぺらで掻きみだし、鳥族のごとく空を流れるさえあるに、あまつさえそれを近代的だなぞと誇称して蓮葉になっているうちに、これだけでも冒涜、不遜、そのうえ人は誰でももろもろの罪業ふかい生物だと聞く。天罰たちどころに到って――現実にBUMP! なんてことになりはしまいか。
とこういうと、いよいよ空の家へまで出張って来てから、かなり長い思索の時間をもったように聞えるが、じつはただ――出来るだけ悠然とこのチャアルス街角の入口をまたぎながら、雲のない蒼穹――いまに私と彼女がそこへ行くのだ――と、テムズ河畔にいこう駄馬の列と、駄馬にからかう蠅のむれと、蠅の羽を濡らす光線と、その周囲、さんさんたる陽ざしのなかに黙って並ぶ善きふるき倫敦の建物