Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.823 Zeichen · 283 Bildschirme
船室は、B甲板の106号。左舷である。
夜、寝台へ這い上る。
同時に、さまざまな断片が私のこころへ這いあがる。
バクスタア家からフェンチャアチ停車場へのタキシの窓に瞥見を持った最後の倫敦――うす陽が建物を濡らしていた。銀行街にあふれる絹帽と絹ずぼんの人波。その急湍の中流に銅像のように直立していた交通巡査の白い手ぶくろ。
とにかく、これが当分のお別れであろう英吉利海峡――去年の夏はこの上層の空気を飛行機で裂いた――の晩春の夜を、船はいま、経済速力の範囲内で、それでも廻転棒を白熱化させて流れている。じぶらるたるへ、マルセイユへ、ころんぼへ、上海へ、やがて、神戸へ!
朝は、私たち同行二人の巡礼を、すっかり「家を思い出して帰ろうとしている放浪者」の、すこしは殊勝なこころもちのなかに発見するであろう。
がたん!
がたん!
と機関が唸る。
船という船のなかで、この倫敦発横浜行きNYK・SS・H丸――私がそれに、何の理由もなしにほとんど運命的な約束をさえ見出しかけていると、彼女も眠れないとみえて、下の寝台で寝返りを打つのが聞えた。
『どうしたい。』
『ええ。大変な浪。