Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おどるちへいせん

踊る地平線(下)

谷 譲次

Lesen Sie 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.823 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

人々は、いつまでも雪に触ってみたり、それから何度も空を仰いだりして、ようやく安心してホテルへ這入って行った。タレスに残ってスキイの手入れをしているのもあった。そこにもここにも雪を払う音がしていた。石段を蹴って靴を軽くしているものもあった。あるいは背中の雪を落しっこしていた。ボウイ達が柄の長いブラシを持って走り廻っていた。誰もかれも真白な呼吸をしていた。それはちょうど人々の腹中に何かが燃えていて、その煙りが間歇的に口から出て来るように見えた。鈴の音が、いま汽車を降りた新しい客の到着を報せた。前から来ている知人達が迎えに走り出て、男も女も、女同士も男同士も、交る代る頬へ接吻し合った。その口々に絶叫する仏蘭西語の合唱が大事件のようにしばらく凡ての物音を消した。何ごとが起ったのだろうと、上の窓に三つ四つの顔が現われた。

闇黒の度が増すと、タレスから雪の上へかけてホテルの明りが、広く黄色く倒れた。その上を、ダンスの人影が玄妙に歪んで、一組ずつはっきり映ったり、グロテスクに縺れたりして眼まぐるしく滑って行った。

私達の背後には、食堂の真ん中の空地を埋めて弾ね仕掛けのように踊る人々と、紐育渡りのバワリイKIDSのジャズ・バンドとがあった。