Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
さすがに懐しい気分が湧き、私は西郷隆盛の辞世の歌を朗読してみたりした。いつのまにか新しい貼紙があって、そこには、ぼくはきみたちのかつての父と同じ男、ぼくらは火うち石と暗黒の息子だ、とか、最初の死のあとに、もはや死はない、という文句が走り書きのように書かれていた。大チャンがどこかから聞いてきた詩句らしく、彼は、それを私が眠っているあいだに貼ったのにちがいなかった。私がやった宗達の寒梅の図の写真も、ちょうど彼の足もとにあたる壁に貼られていた。よく見ると、古い貼紙の中には、戦陣訓の一部もまざっていた。
私はその午後を、それらを読みながらぼんやりとしてすごし、大チャンの朝つくって行った肉と南瓜の煮つけと、胡瓜もみとに、生玉子を添えて食べた。これが最後の大チャンの手料理だと思うと美味しかった。わざと冷めたのを食べたのだが、番茶を飲むと汗が全身に吹き出してきた。暑い日だった。ひとつも風がなかった。
私は窓を開けて、無風の真夏の夕暮の空の下に、どこまでもつづいて行く東京の漂流物のような屋根瓦の海をながめた。それは平凡で、おそろしく単調な猥雑さにみちた景色だった。