Japanische Klassiker mit Furigana
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てんき
転機
伊藤 野枝
Lesen Sie 転機 (てんき) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.656 Zeichen · 67 Bildschirme
土を耕すことより他には、何の仕事も彼等は知らないのだ。耕そうにも土地はないし、金はなくなるといえば、彼等はその日からでも路頭に迷わねばならなかった。そうしたはめになって、ある者は再び惨めな村へ帰った。ある者は何のあてもない漂浪者になって離散した。
M氏によって話される悲惨な事実は、いつまでも尽きなかった。ことに、貯水池についての利害の撞着や、買収を行なうにあたっての多くの醜事実、家屋の強制破壊の際の凄惨な幾多の悲劇、それらがM氏の興奮した口調で話されるのを聞いているうちに、私もいつかその興奮の渦の中に巻き込まれているのであった。そして、それ等の事実の中に何の罪もない、ただ善良な無知な百姓達を惨苦に導く不条理が一つ一つ、はっきりと見出されるのであった。ああ! ここにもこの不条理が無知と善良を虐げているのか。事実はよそごとでもその不条理の横暴はよそごとではない。これをどう見のがせるのであろう? かつてその問題のために一身を捧げてもと、人々を熱中せしめたのも、ただその不条理の暴虐に対する憤激があればこそではあるまいか。それ等の人はどういう気持ちで、その成行きを見ているのであろう?