Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme

Aozora Bunko

そんならチいうて大惣の病気をば今一度、非道なす訳には尚更行かん……よしよし……俺が一つ談判して来てやろう』

それから木賃宿のオヤジに談判しますと、宿賃は要らん。大病人に死なれちゃタマラン。早よう出てくれいと云います。

コッチは得たり賢しです。直ぐにヒョロヒョロの大惣をツン州の背中へ帯で十文字に結び付けて、外へ出ましたが、別段、どこへ行くという当ても御座いません。その中にフト稲佐の山奥へ、私の知っている禅宗坊主が居る事を思い出しまして、昨夜の鐘の音は、もしやソイツの寺じゃないか知らんと気が付きました。何ともハヤ心細い、タヨリにならぬ空頼みをアテにして、足に任せて行くうちに、何しろ十二月も三十日か三十一日という押詰まっての事で、ピューピュー風に吹かれた大病人上りの大惣が寒がります。哀れなお話で、今にも凍え死にそうな色になって『寒い寒い』と云いますので、タッタ一枚着ておりました私の褞袍を上から引っ被せて、紅褌一貫で先に立って、霜柱だらけの山蔭をお寺の方へ行きますと、暫く行く中に、大惣は元来の大男で、ツン州の力が足らぬと見えて、十文字に縛った帯が太股に喰い込んで痛いと大惣が云い出しました。