Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
「まあまあそう因業な事をば云いなさんな。折角の喧嘩が又ブリ返すたい」
「その禿頭をタタキ割るぞ畜生」
「止めとけ止めとけ。タタキ割っても何にもならん。腐ったブリが忘れガタミじゃ詰らん」
この洒落がわかったらしい。親爺が、眼をグルグルさしたまま黙って引込んだ。
二人は連立って店を出た。
「ああ、久しブリで美味かった」
「俺もチイッと飲み足らんと思うておったれあ、今の喧嘩でポオッとして来た。二合分ぐらいあったぞ、箒売のアタマが……オット今の丼をば忘れて来た」
「馬鹿な。置いとけ置いとけ。ショウガなかろう」
飄逸、洒脱、繊塵を止めず、風去って山河秋色深し。更に挙す。看よ。
仁三郎の友人に水野某という青物問屋の主人があった。その又二人の友人で又木某という他県人の青物仲買人があった。その又木某は身寄タヨリのない全くの独身者で、兼てから湊屋仁三郎と水野某を保証人として何千円かの生命保険に加入していた。又木曰く、
「俺は篠崎にも水野にも一方ならぬ世話になった。俺の家は代々胃癌で死ぬけに、俺も死ぬかも知れぬ。それで万一俺が死んだなら一つ頼むけに俺の葬式をしてくれい。ナア」
涙もろい二人は喜んで証書に印判を捺したものであった。