Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
ただ、
『この畜生。罰を当てるなら当ててみよ』
と破れた醤油樽を御神殿に投込んで人参畑へ帰って来たが、帰ってからこの話をすると、それは賞められたものじゃったぞ。大将の婆さんが涙を流して『ようしなさった。感心感心』と二人の手を押戴いて見せるので、塾の連中が皆、金鵄勲章でも貰うたように俺達の手柄を羨ましがったものじゃったぞ。ハハハハハ」
人参畑の婆さんがいつまで存命して御座ったか一寸調査しかねているが、とにもかくにも、こうした人参畑の豪傑青少年連は、その後健児社という結社を組織して、天下の形勢を睥睨する事になった。これが後の玄洋社の前身であったが、天下の形勢を憂慮する余り、近所界隈の畑や鶏舎を荒し、犬猫の影を絶ち、営所の堀の蟇を捕って来て、臓腑を往来に撒布するなぞ、乱暴狼藉到らざるなく、健児社の連中といえば、大人でも首を縮める程の無敵な勢力を持っていたものであった。
その中でも乱暴者の急先鋒は我が奈良原少年で、仲間から黒旋風李逵の綽名を頂戴していた。奈良原到が飯爨当番に当ると、塾の連中が長幼を問わず揃って早起をした……というのは、飯の準備が出来上るまで寝床に潜っていると、到少年がブスブス燃えている薪を掴んで来て、寝ている奴の懐中に突込むからであった。