Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
そこで頭山先生懐中から股倉へ手を突込んで探ってみると、何かしら柔らかいものがブラリと下っている。抓んで引っぱってみると、すぐにプツリと切れてしまった。股倉から手を出してみるといかにも名前の通りに白い、平べったい、サナダ紐みたいなものが一寸ばかりブラブラしている。
見ると目の前に、見事な金蒔絵をした桐の丸胴の火鉢があったので、頭山先生その丸胴の縁に件のサナダ虫を横たえた。進藤喜平太氏も不審に思って覗いてみたが、何やらわからないので知らん顔をしていたという。
そのうちに又、頭山先生のお尻の穴がムズムズして来たので、又手を突込んで引っぱると、今度は二寸ばかりの奴が切れ離れて来たヤツを、やはり眼の前の火鉢の縁へ、前の一片と並べておいた。察するに頭山先生いい退屈凌ぎを見付けたつもりであったろう。悠々と股倉へ手を突込んでは一寸、又二寸とサナダ虫の断片を取出して、火鉢の縁へ並べ初めた。
誰でも知っている通りサナダ虫は一丈も二丈もある上に、短かい節々のつながりが非常に切れ易いので、全部を引出し終るにはナカナカ時間がかかる。とうとう火鉢の周囲へ二まわり半ほど並べたところへ、やっとの事、御大将の菊地市長が出て来た。