Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すきとおるあき
透き徹る秋
宮本 百合子
Lesen Sie 透き徹る秋 (すきとおるあき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.512 Zeichen · 6 Bildschirme
空を、はるばると見あげ、思う。何という透明な世界だろう。
晴れ渡った或る日、障子を開け放して机に向っていた。何かの拍子に、フト眼が、庭の一隅にある青桐の梢に牽かれ、何心なく眺めるうちに、胸まで透き徹る清澄な秋の空気に打たれたのだ。
平常私の坐っている場所から、樹は、丁度眼を遣るに程よい位置にある。去年の秋、引越して来てから文学に行きつまった時、心が沈んだ時、または、元気よく嬉しく庭に下りた時、幾度この梢を見上げたことだろう。春先、まだ紫陽花の花が開かず、鮮やかな萌黄の丸い芽生であった頃、青桐も浅い肉桂色のにこげに包まれた幼葉を瑞々しい枝の先から、ちょぽり、ちょぽりと見せていた。
浅春という感じに満ちて庭を彼方此方、歩き廻りながら日を浴び、若芽を眺めるのは、実に云い難い悦びであった。
春から夏にかけて、地上のあらゆる家屋、樹木、草々は、驚くべき直接な力で、各自の美しい存在、沈黙の裡の発育、個性というものを見る者の心に訴える。芽ぐむ青桐の梢を見あげ、私は、独特の愛らしさ、素朴、延びようとする熱意を感じずにはいられない。沈丁花の、お赤飯のような蕾を見ても同じ、彼女の暖み、気息を感じる。