Japanische Klassiker mit Furigana
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とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
Lesen Sie 途上の犯人 (とじょうのはんにん) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.477 Zeichen · 38 Bildschirme
その点は十分考えて頂かんと困ると思うのだが」
「探偵小説の筆を取る時は小説家、弁護士として金を取る時は法律家だ、とこう云われるのでしょう。成程、一応それでいいようには聞えます。しかしそれは胡魔化しだ。欺瞞だ! 先生はごまかそうとしているのです」
彼の態度はますます猛烈で、その論旨はいよいよ急である。私は実は彼の頭が割にいいのに驚いたのである。
「先生は小説家だという。しかし如何なる場合でも先生が社会の一分子たる事は争いがない。あなたがなんといったって、社会に対する感化を考えないという事はけしからんです。あなたは自らお考えになった事はないのですか?」
於是「先生」は俄然「あなた」に変じ、彼の蛇男は立派な社会評論家になってしまったのである。
私は少し腹が立って来た。真面目に論戦してやろうと考え出した。そうして何と云ってやろうかと思っていると彼は、ウイスキーの罎を殆ど空にしながら、こういうのである。
「探偵小説家の中でも、特に私はあなたに文句があるんだ」
此の一言はきき捨てならなかった。
「どうして、特に僕が、だ」
「あなたは法律家だ、従ってあなたの書くものには、とかく法律問題が出て来る。