Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とじょう

途上

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 途上 (とじょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.060 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ」

と云ったが、湯河は不思議な気がした。「この男は己を間接には調べないと云っておきながら、いろいろのことを調べている」―――で、彼は再び不愉快な顔つきになった。

「あなたは先の奥さんを大そう愛していらしったそうですね」

「ええ愛していました。―――しかし、それだからと云って今度の妻を同じ程度に愛しないと云う訳じゃありません。亡くなった当座は勿論未練もありましたけれど、その未練は幸いにして癒やしがたいものではなかったのです。今度の妻がそれを癒やしてくれたのです。だから僕はその点から云っても、ぜひとも久満子と、―――久満子と云うのは今の妻の名前です。お断りするまでもなくあなたは疾うに御承知のことと思いますが、―――正式に結婚しなければならない義務を感じております」

「イヤ御尤もで」

と、紳士は彼の熱心な口調を軽く受け流しながら、

「僕は先の奥さんのお名前も知っております、筆子さんとおっしゃるのでしょう。―――それからまた、筆子さんが大変病身なお方で、チブスでお亡くなりになる前にも、たびたびお患いなすったことを承知しております」

「驚きましたな、どうも。さすが御職掌柄で何もかも御存知ですな。