Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆけるマクシム・ゴーリキイ
逝けるマクシム・ゴーリキイ
宮本 百合子
Lesen Sie 逝けるマクシム・ゴーリキイ (ゆけるマクシム・ゴーリキイ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.396 Zeichen · 17 Bildschirme
寝台が一つしかなかった。学生とゴーリキイとは夜昼かわり番こにその寝台に眠り、朝になるとゴーリキイは「飢えないために、ヴォルガへ、波止場へと出かけて行った。そこで十五――二十哥を稼ぐことは容易であった。」
幼年時代は祖父の家の恐ろしい慾心の紛糾を目撃し、転々と移ったこれまでの仕事の間では小市民的な日暮しのあくせくした猜疑に煩わされて来た。十五のゴーリキイにとって、これらの荷揚人足、浮浪人、泥棒の仲間は、彼等の極端な貧窮、不幸により、而も猶彼等が自由に生活を選んでいるという点で若いゴーリキイを惹きつけた。ゴーリキイは、灼熱された石炭の中に投げ込まれた一片の鉄のように自分を感じ、強烈で新鮮な印象に充たされながら、「彼等の辛辣な環境に沈潜して見ようという希望を呼び醒された」のであった。
然し、時が経つにつれ、ゴーリキイの心に一つのつよい疑いが湧いて来た。これらの同情すべき人々は、どうしてこう何を喋っても、すべて過去の形で「あった」「よくあった」「こうだった」「ああだった」という風にばっかり語るのだろうか。彼等にとって総ては嘗てあったことである。これから何かあるだろうということ、そのことは決して彼等の言葉にのぼって来ない。