Japanische Klassiker mit Furigana
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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
Lesen Sie 進化と人生(上) (じんるいのせいぞんきょうそう) von 丘 浅次郎 (おかあさじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.343 Zeichen · 164 Bildschirme
されば働かぬ者もなく、不平もないという状態は実にうらやましいことと言わねばならぬ。
また苔虫類の国では滋養分に剰余の生じた場合にはすべてこれを一国全体の所有として適宜に利用するのみで、決してこれをわけて一匹ずつの所有を定めるごときことはない。すなわち財産は全国共有であって、私有の財産というものは少しもない。それゆえ、貧富の区別もなく、資本家と労働者との区別もなく、富の圧制もなければ、貧の苦しみもない。したがって不正な手段で富を増そうという悪い心も生ぜず、抽籤に当たって大金を獲ようという卑しい根性も起こらぬ。もしかかる社会にあって一匹の虫が財産の一部を私したならば、その所業はとりもなおさず盗むことにあたるゆえ「財産は盗品なり」と言うたプルドンの言葉は苔虫の国には実際そのままにあてはまるのである。また苔虫のある種類では一国内の個体の間に分業が行なわれて食物を集める者、これを消化する者など、もっぱら国の富を増すことをつとめる側の者と、敵の攻撃を防いで国を護る側の者とが明らかに分かれているが、かような場合にも、単に生活に必要な各種の作用を個体間に分担して、各自その専門の職務が異なっているというまでで、少しもその間に貴賤尊卑の区別がない。