Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とんそう

遁走

葛西 善蔵

Lesen Sie 遁走 (とんそう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.581 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

私にはいくらかあっけない、そしてぎすっとしたような感じがされたが、しかしむろん彼の態度は立派なものに違いなかった。それからビールや酒や料理が廻って、普通の宴会になった。非常な盛会だ――誰しもこう思わずにはいられなかっただろう。

十一時近くなって、散会になった。後に残ったのは笹川と六人の彼の友だちと、それに会社員の若い法学士とであった。そして会計もすんで、いよいよ皆なも出かけようという時になって、意外なことになった。……それは、今朝になって突然K社(出版屋)の人が佐々木を訪ねてきて、まだ今夜の会場が交渉してないから、彼に行って取極めてきてくれと言って、来たのだそうだ。

「……幸いこの家が明いていたから、よかったようなものの、他に約束でもあって断わられたとしたら、せっかくここを指して集ってきた人たちに対して僕が名義人として何と言って、皆さんへ申訳するのだ! どんな不面目迷惑を蒙らなければならぬか! そんな責任は俺にはないはずだ。万事は君が社と交渉していたのじゃないか……それをどこまでも白ばくれて、作家風々とか言って、万事はお他人任せといった顔して……それほどならばなぜ最初から素直に友人に打明けて、会のことを頼まないのか? 君はいつもいつも友人を出汁に使って、君という人はじつに……」