Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うんめいろんしゃ

運命論者

国木田 独歩

Lesen Sie 運命論者 (うんめいろんしゃ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.357 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

三年で卒業する。弁護士の試験を受ける。そした暁は私と懇意な弁護士の事務所に世話してやるから、其処で四五年も実地の勉強をするのじゃ。其内に独立して事務所を開けば、それこそ立派なもの、お前も三十にならん内、堂々たる紳士となることが出来る。如何じゃな、其方が近道じゃぞ。』という父の言葉を聴いて居る、僕の心の全く顛動したのも無理はないでしょう。

これ実に他人の言葉です。他人の親切です。居候の書生に主人の先生が示す恩愛です。

大塚剛蔵は何時しか其自然に返って居たのです。知らず/\其自然を暴露すに至ったのです。僕を外に置くこと三年、其実子なる秀輔のみを傍に愛撫すること三年、人間が其天真に帰るべき門、墳墓に近くこと三年、此三年の月日は彼をして自然に返らしたのです。けれども彼は未だ其自然を自認することが出来ず、何処までも自分を以前の父の如く、僕を以前の子の如く見ようとして居るのです。

其処で僕は最早進んで僕の希望を述るどころではありません。たゞこれ命これ従がうだけのことを手短かに答えて父の部屋を出てしまいました。

父ばかりでなく母の様子も一変して居たのです。日の経つに従ごうて僕は僕の身の上に一大秘密のあることを益々信ずるようになり、父母の挙動に気をつければつけるほど疑惑の増すばかりなのです。