Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

うんめいろんしゃ

運命論者

国木田 独歩

Lesen Sie 運命論者 (うんめいろんしゃ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.357 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

里子は怨霊の本体を知らず、たゞ母も僕も此怨霊に苦しめられて居るものと信じ、祈念の誠を以て母と所天を救うとして居るのです。

僕は成るべく母を見ないようにして居ます。母も僕に遇うことを好みません。母の眼には成程僕が怨霊の顔と同じく見えるでしょうよ。僕は怨霊の児ですもの!

僕には母を母として愛さなければならん筈です、然し僕は母が僕の父を瀕死の際に捨て、僕を瀕死の父の病床に捨てて、密夫と走ったことを思うと、言うべからざる怨恨の情が起るのです。僕の耳には亡父の怒罵の声が聞こえるのです。僕の眼には疲れ果た身体を起して、何も知らない無心の子を擁き、男泣きに泣き給うた様が見えるのです。そして此声を聞き此様を見る僕には実に怨霊の気が乗移るのです。

夕暮の空ほの暗い時に、柱に靠れて居た僕が突然、眼を張り呼吸を凝して天の一方を睨む様を見た者は母でなくとも逃げ出すでしょう。母ならば気絶するでしょう。

けれども僕は里子のことを思うと、恨も怒も消えて、たゞ限りなき悲哀に沈み、この悲哀の底には愛と絶望が戦うて居るのです。

処が此九月でした、僕は余りの苦悩に平常殆ど酒杯を手にせぬ僕が、里子の止るのも聴ず飲めるだけ飲み、居間の中央に大の字になって居ると、何と思ったか、母が突然鎌倉から帰って来て里子だけを其居間に呼びつけました。