Japanische Klassiker mit Furigana
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みちづれ
道づれ
宮本 百合子
Lesen Sie 道づれ (みちづれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.491 Zeichen · 41 Bildschirme
瑛子は田沢と並んで新刊書のあたりをすこしぶらついたが、じき自分だけ高い窓際に置かれている小さい椅子を見つけて、そこへ行ってかけた。
田沢は、瑛子がそこにかけたとき見守っていただけで、あとは瑛子を十分意識しながらそっちは見ず、時々は書類鞄を台の端において上着の前へそれをもたせかけるような姿勢をとり、本を手にとってあっちこっち頁をとばして目を通したりしている。
人数の割に、この店らしい落付いた、アカデミックな静かさとでもいうようなものが広いその場所を領している。瑛子はちょっと鏡をのぞいた。それから大きい窓ガラスを越して、向い側に見えるビルディングのどっさり並んだ窓々や、ずっと彼方の、何をしているのか彼女は知っていない彼女の娘とその二人の連の上にも懸っている薄青い空。その中空に浮んでいるアド・バルーンなどを暫く眺めていた。それに飽きると、少し上体の位置をかえて、視野のなかにいつも田沢の横向きや斜向きの姿がつつまれるような工合に顔を向けた。
白い足袋の爪先を厚ぼったい草履ごと折々小さく動かしたりしてはいるが、それは瑛子の我知らずの癖で、彼女の大柄な体全体と顔とには、何とも云えずゆったりした、今の刻々の心地よさが照りかえしている趣があった。