Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
豊島 与志雄
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.402 Zeichen · 19 Bildschirme
「いや、そんな筈はありません。」またくるりと廻りました。「然し、僕と踊って下さらなくても、一向構いません。」またくるりと廻りました。「森村家の御令嬢で、三浦画伯の愛弟子で、そして……。」またくるりと廻りました。「そのお手を執らして頂いただけで、僕は充分に光栄です。」
彼はステップを踏んで、そしてくるくると廻りました。
そういう山崎に、片手の先を任せながら、照子は椅子にかけたまま、心持ち微笑を浮べてるように見えました。貴婦人がサロンで男に応対する態度とも、言えないことはありませんでした。彼女は眼鏡をかけていましたが、その枠縁が目頭のところで白銀色にちらちらと光り、近眼鏡の奥に眼眸が静かな光りを湛え、それら二つの光りが彼女を清純なものに見せました。
その時、どうしてだかよく分りませんが、或は、踊っている一組の者が近づいて来たのをよけようとしてか、或は、ちょっといたずらな身振りをするつもりでか、山崎は少しく照子に近寄りすぎたようでした。照子は立ち上りました。山崎はあわてて後退するはずみに、そばの卓子にぶっつかりました。卓上で、まだ半分ばかり残ってるウイスキーの瓶が倒れかかり、それへ照子は手を伸しましたが、瓶はすべって床に転がり落ち、音を立てて砕けました。