Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちがうへいはちろう
違う平八郎
山本 周五郎
Lesen Sie 違う平八郎 (ちがうへいはちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.142 Zeichen · 27 Bildschirme
四
それは実に千匹の悪鬼が押寄せるかと思われて、……逃げたのも全く夢中でした」
平八郎はぐっと下唇を噛んだ。
四
お寧々には男の悲しい運命が熟く分った。そして勝気であるだけに愛情もまた一倍な乙女の心は、不思議な力で平八郎の方へ烈しく惹かれるのを感じた。
――お可哀そうに。
そう云ってやりたかった。
元旦の祝宴で初めて彼を見て以来、その肩幅の広い逞しい体つきや、濃い一文字眉や、世俗の垢に染まぬ凛とした眼を、ふとすれば眼前の幻に描く自分に気付いて、人知れず頬を染めることさえあったのである。
「ようこそお話し下さいました」
寧々は容を正して云った。
「世間の者がなんと云おうと、わたくしだけは貴方を唯の臆病者とは思いませぬ、貴方が戦場をお逃げになったのは徳川の本多平八郎殿と間違えられたからでございますわ、――けれど――平八郎さま、斯うお考え遊ばすことは出来ませんかしら、天下に本多平八郎は御自分独り、他にあればそれこそ貴方の偽者だという風に」
「――はあ、……」
「貴方は日本の弓取、織田信長公の御直臣ではございませぬか、鬼平八郎殿が豪勇でも、貴方に比べれば三河の小大名の家来、貴方こそ威張って本多平八郎と名乗れる筈です」