Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
と思うと、馭者が真赤な顔をして、ブツブツと言いながら来た。
「日が暮れるぞ!」と待ち構えていた一人は言った。馭者は黙って返事もせず、轡をとると邪慳に馬の首を引っ張って位置をなおした。
ところへ、あとの方から前の一人が駆けて来て、綱を引ずった馬に追い付くと、
「コーレ、シッ」と大きな声で言って叱るのが聞こえた。そして馬を引いて帰って来た。
私達の方の馭者も台に上った。そしていきなり、馬の尻に思うさま鞭をあてた。
これから西に向いて行くのだ。日の入る方に向いて……。
一町も行くと、第二の馬車に逢った。
まもなく、猿ヶ石川の岸にかかった。
と、後から、
「オーイ、オーイ」と呼ぶ声がする。私達の馭者はふと振り返ったが、急に馬車を止めた。
そして、
「チョッ! 業突張!」と言いながら、車から下りた。あとにいた客は垂幕を上げると、
「馬がたおれた。」と言った。車の中では顔を見合わせた。一様に誰にも不安な感が頭を走った。
「どうするんだ。これでいつ花巻に着けるんだ。」と一人が呟いた。
私は立って、その入口の人を越して外に出た。地に降りると、まずあたりを見た。山になったので、勾配のやや強い、上り坂の中程で、ずっと遠くの方にある山が相接して立っている。