Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
自分はひそかに退屈してしまった。
そのうちに見物が次第に一杯になって来た。牛のような頑丈なからだをした男達がうしろの方にずっと並んだ。
長々と、今夜の人形、新しく改良したものであると言う前口上があって、やがて幕が明いた。人形はやはり古く汚れている。土の上に塗った胡粉の色が冷く白い。それに死んだ人のような指をした人形が目を一つところに据えて踊り出した。自分はこれが子供の時から恐ろしく思われるものの一つだ。久しぶりでまたそれを見たのだ。
それで、目をそらして見物の方を見ると、傍にいる女達が小さな可愛いい目を見はって、一心に舞台に見入っている。うしろの方からも折々「今度のは余程うまい」と言うような賞讃の辞が聞こえる。
やがて、一幕すんだ。方々で話がはじまる。女達は目をキョロキョロさせて、四辺を見廻わしている。この女も同じように、綺麗な鳥のような目をしている。色の黒い、垢のついた、しかし、肉付きのいい、まるみのある顔をして、その鳥のような目でキョロキョロしながら、女らしい透る可愛いい声で物を言うのを見ていると、自分はこの田舎の女が、家に飼われている、猫か鳩かのように思われた。