Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
……また手持ち無沙汰になりそうだから、私もあわてて、
「それで、何ですか、林や森の感じなども、変ってるでしょうね。」と話をまたその方に持って行く。すると荻原は遠慮した顔をしながらも、気が乗って来て、
「胡桃林が多いのです。もすこしして、十月の中ごろになって林の中にいると、胡桃の果が枯れ草の上に、ぼたり、ぼたりと落ちるのが、実に淋しい音です。」
「私なんぞは、胡桃の林なんて見た事もありませんよ。……それはそうと変な事を聞くようですがね、お国の方では迷信がひどくはありませんか。お怪談なんぞが……前に僕は誰れかに聞いたっけ、そんな話は寒い国ほど盛んだって。」私もつい話にうかされて来る。
「盛んです。そんな話ばかりですよ。」 私が菓子を一つ摘んで食べると、荻原も心置きなく手を出して、一つ摘んだ。だんだん熱して来て、目に見えるほど、様子が変わった。
「やっぱり、陰鬱なせいかしら。」
「どうですか。国ではまだ巫女だとか、変んな魔法を使うと言う女などがたくさんいましてね。」荻原は一直線に話を進めようとする。
「魔法?……何です、それは。」
「何ですかね、蛇だとか、いろいろな毒虫を見ると、何か呪文のような事を言って、すぐそれを殺してしまうのです。