Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
従兄とは久し振りだから一緒にものを食おうと思ってさ。」
「ハハそうですか、ハッ。じや私がよく見つくろいます。」
「…………」
自分は嫌な顔をして型だけにうなずいた。
その晩、従兄がくるのを待って、二人は少しばかり酒を飲んだ。が、その席にともすると、例の男がはいって来て、じつと尻を落ちつけて、自分達の話に口を入れる。自分はとうとう少し二人きりの話がしたいからと言って、その男をことわった。その晩の話に従兄は二三日してこの町で学術演説会があるので、従兄も一場の演説をするのだと言った。
五
その夜は心持ちよく眠られた。酒の酔いで、貧血性の頭は充血して……水に潤ったようになった。で、ぐっすり眠って、心持ちよく目を覚した。
と、室の中に人がはいって来ている気配がした。自分は夜着を深くかぶっていたが、じっとして聞いていると、その人は裾の方にいるようだったが、やがて、違い棚で、
「コトン」とそっとグラスの壜を置いた音がした。
自分はハッと思ったので、そっと夜着の襟をずらせて目を出すと、棚のうえに男の指が見えた。
それが香油の壜をずっと奥の方に押していた。
自分は声を出して笑おうかと思った。