Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Lesen Sie 遺愛集 (いあいしゅう) von 島 秋人 (しまあきと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.488 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

欲しきもの択れよと云へど良き人と微笑む所長を見つつ決まらず

過ぎし日に少し腹立つことありと告ぐるに牧師は頭をなぜくるる

老いたまふ牧師の指の熱かりき聖句示さるる指触れあひて

水道の蛇口つめたく心地よし虫の音ききつつほほに当つれば

虫あはれいのちのかぎり鳴くさまを人は涼しきものとして聴く

死刑囚のあがき虫の音にとけて憶ふやさしき人の優しかりしを

はてしなき悔いに耐へかね荒壁に触れつつ聴けりやさしき虫の音

虫の音に過ぎしをおもひ聴き入りつ荒き壁の面さすりゐたりき

過ぎし日に四度自殺を計りしを獄に覚めて虫聴き憶ふ

やさしさのつきぬごとくに虫の鳴く獄に冴えて独り愛しむ

虫の音のひそかになりて獄の夜の明けそむるらし風とほりゆく

いささかはさびしきことの生れ来れど晴れし秋空獄窓にたのしむ

死刑囚の憶ひをかもす赤あきつちひさき蝶の飛ぶ空親し

昨日まで鳴きゐし蝉の鳴かず暮れみじかきいのち終へたるらしき

ひげそらんと入りし室にほほづきのあからめるあり指に触れにき

姉弟を丸にかこみて親しめる優しき義姉の手紙が来たりき

夜具にさす月美しと書き来たる獄に見得ざる事とは知らず

かがまりて飯待つ翳のさびしきに触れば愛しきいのちなりけり