Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Lesen Sie 遺愛集 (いあいしゅう) von 島 秋人 (しまあきと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.488 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

昭和三十九年

無期なれば今の君なしと弁護士の言葉憶ひつつ冬陽浴びをり

丸刈りの頭にぬくみ伝ひ来て曇ガラスの獄窓とほる陽は

てのひらを冬陽の壁に添へてゐる死囚のいのちのひととき愛し

洩るる陽にゐざりつつ行きふとをかしひとりの獄の安けさのうち

幼児のごとく冬の陽てのひらに受けとめてをりぬかなあみ獄窓に

まみつむり甘えて顔をまむけをり冬の陽ふかくさしくる獄窓に

いくたびか老父の手紙を欲りてゐき忘れむとする処刑日迫る

風ふけば吹かるるままに傾きてちひさき寒の朱の菊かも

愛に飢うる小さき胸に菓子袋ひとつづつだく孤児の一群

ゆづりあふ笑みが写りき湯あがりを二人見向ふ小さき鏡に

二試合投げて勝ちたるうで振りつつおもふ都度笑む独りたのしく

良き鉢を選べるほどとなりにけり確定じゅんの葉ぼたん選りぬ

いくたびか楽しきおもひ湧き出でて遠く去りゆく一日愛し

湯タンポをかかすことなく年を越す獄の眠り愛しかりけり

三年経てかはりしわれを顧みつ笑むこと知りしいのち愛しむ

三十の年を賜り獄に食む雑煮餅なり甘くかみしむ

昭和三十九年

父に新しく家があたえられる。わが送りし賞金二万円が、その基金と聞く。

窪田空穂先生

前略 とつぜんの厚かましい手紙を差上げましたが今日のおひるにお返事をいただく事が出来ましてほっと致しました。