Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうびんきって
郵便切手
宮本 百合子
Lesen Sie 郵便切手 (ゆうびんきって) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.262 Zeichen · 7 Bildschirme
三銭で手紙が出せた時代はわりあい長かった。四銭になってから七銭になり十銭まであがったのは最近数年の短い間のことである。獄中に家族の誰かをもっていた人たち、そして、家族の大切な誰かを出征させていた人たち、その人たちにとっては、郵便切手が実に特別な意味をもっていた。出征している人々と家族とのあいだの幾千里をつなぐ愛情のよすがの便りは郵便であったし、獄中と外との生活は、切手をはられた郵便で、やっと交通を保ちつづけた。
獄中で封緘が買いにくくなってから、私は友達にたのんだりして、封緘を買い集めてそれを差入れした。買った当時は、その封緘に印刷されていた四銭ですんだものが七銭になって、別に切手を貼り添えなければならなくなった。二銭のハガキに一銭足さなければ役に立たなくなった。そして、一銭の郵便切手というものが、珍しく毎日に必要なものとなって来たのである。
今からちょうど三年ばかり前のことであった。郵便局の窓口で十枚ばかり一銭切手を買った。ハイと若い女事務員に出された切手を見て、わたしは、あら、と思った。その一銭切手は、わたしの視線をひきつけた。これまで日本の切手の図案と云えばあきもせず乃木大将・東郷大将一点ばりで、すこし変化したと思えば、その頃の四銭には格別美しさもない議事堂の絵がついていた。