Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のざらし
野ざらし
豊島 与志雄
Lesen Sie 野ざらし (のざらし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.100 Zeichen · 39 Bildschirme
……あの、佐伯さん、私がもし電話でお呼びしたらすぐに来て下さいよ、屹度ね!」
昌作は何故ともなくほろりと涙を落したのだった。そして達子の最後の言葉は彼の耳に残らなかった。
二
霧の深い晩だった。佐伯昌作は何かに追い立てられるように、柳容堂の二階の喫茶店へ急いだ。
運命と云ったようなものがじりじりと迫ってくるのを、彼は感じたのだった。そして、達子へ対して四五日の後にと誓ったのは、寧ろ自ら自分の心へ対してだった。九州の炭坑へ行くべきなのが本当であると、彼ははっきり知っていた。片山禎輔の様子に暗い疑惑が生じたにもせよ、そんなことを考慮に入れるのは、自分が余りに卑怯なからだと思いたかった。何にも云わないで、黙って忍んで行こう!……然しその後から、橋本沢子のことが同じ強さで浮んできた。九州へ行くという意志が強くなればなるほど、同じ程度に沢子へ対する愛着が強くなっていった。九州へなんか行かないでもよいという気になれば、沢子なんかどうでもよいという男になった。昌作はそういう自分の心を、どうしていいか分らなかった。九州の炭坑のことを思うと、真暗な気がした。