Japanische Klassiker mit Furigana
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のざらし
野ざらし
豊島 与志雄
Lesen Sie 野ざらし (のざらし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.100 Zeichen · 39 Bildschirme
「下らない!」
そう云いすてて、彼は椅子の上に軽く身体を揺りながら、チョコレートの菓子とコニャックの杯とを両手に取って、一方をかじり一方を啜った。
沢子はその様子を喫驚したような眼で眺めた。
「あなた、何に怒ってるの?」
「怒ってなんかいやしない。……もし怒ってるとしたら、自分自身に怒ってるんだろうよ。」
「つまんないじゃないの。」
何がつまらないか昌作には一寸分らなかった。が、それがぴたりと胸にきた。
「そうさ、全くつまらないよ。君なんかには分らない味さ。……画家なんて呑気だからね。」
「え?」
「君は画家になるつもりだっていうじゃないか。」
「私が!……。」彼女は遠くを見るような眼付をした。「あなた、それをどうして知ったの?」
「先刻ちらと聞いたよ。」
「あ、あの嫌な人達?……どうして分ったんでしょう?」
「君が此処に来る客の顔をみんな描いて、それを好きな者と嫌いな者とに分けて、好悪の群像とかを拵えるつもりだって、云っていたよ。」
沢子はそれには何とも答えなかった。
「どうして分ったんでしょう? 不思議ねえ。私誰にも知らせないようにしてたんだけれど。」
「別に隠す必要はないじゃないか。