Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
今の自分はただただ自分を悔い、自分を痛め、自分を損じ苦しめるのが、いくらか自分を慰めるのである。今の自分には、哲学や宗教やはことごとく余裕のある人どもの慰み物としか思えない。自分もいままではどうかすると、哲学とか宗教とかいって、自分を欺き人を欺いたことが、しみじみ恥ずかしくてならなくなった。
真に愛するものを持たぬ人や、真に愛するものを死なしたことのない人に、どうして今の自分の悲痛がわかるものか、哲学も宗教も今の自分に何の慰藉をも与え得ないのは、とうていそれが第三者の言であるからであるまいか。
自分はもう泣くよりほかはない。自分の不注意を悔いて、自分の力なきをなげいて泣くよりほかはない。美しい死に顔も明日までは頼まれない。わが子を見守って泣くよりほかに術はない。
妻もただ泣いたばかりで飽き足らなくなったか、部屋に帰って亡き人の姉々らと過ぎし記憶をたどって、悔しき当時の顛末を語り合ってる。自分も思わず出てきてその仲間になった。
自分が今井とともに家を出てから間もないことであった。妻は気分が悪く休みおったが、子どもたちの姿がしばらく目を離れたので、台所に働きおる姉たちに、子どもたちはどうしていると問うた。