Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

おっちゃんにあっこ、おっちゃんにおんも、おっちゃんがえい、お児ちゃんのかんこ、お児ちゃんのかんこがえいと声がするかと思うほどに耳にある彼の子の言葉を、口にいいさえすればすぐ涙は流れる。何べんも何べんもそれを繰り返しては涙を絞った。

夜が明けそうと気づいて、驚いてまた枕辺にかえった。妻もうとうとしてるようであった。ほかの七、八人ひとりも起きてるものは無かった。ただ燈明の火と、線香の煙とが、深い眠りの中の動きであった。自分はこの静けさに少し気持ちがよかった。自分の好きなことをするに気がねがいらなくなったように思われたらしい。それで別にどういうことをするという考えがあるのでもなかった。

夜が明けたらこの子はどうなるかと、恐る恐る考えた。それと等しく自分の心持ちもどうなるかと考えられる。そしてそういうことを考えるのを、非常に気味わるく恐ろしく感じた。自分は思わず口のうちで念仏を始めた。そうして数十ペん唱えた。しかしいくら念仏を唱えても、今の自分の心の痛みが少しも軽くなると思えなかった。ただ自分は非常に疲れを覚えた。気の張りが全く衰えてどうなってもしかたがないというような心持ちになってしまった。