Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
「そりゃおまえ、そんな事はないよ。もともと懇望されていったお前だもの、お前がその気になりさえすりゃ、わけなしだわ」
話は随分長かったが、要するに覚束ない結局に陥ったのである。これからどうしてもおとよの話に移る順序であれど、日影はいつしかえん側をかぎって、表の障子をがたぴちさせいっさんに奥へ二人の子供が飛びこんできた。
「おばあさんただいま」
「おばあさんただいま」
顔も手も墨だらけな、八つと七つとの重蔵松三郎が重なりあってお辞儀をする。二人は起ちさまに同じように帽子をほうりつけて、
「おばあさん、一銭おくれ」
「おばあさん、おれにも」
二人は肩をおばあさんにこすりつけてせがむのである。
「さあ、おじさんが今日はお菓子を買ってやるから、二人で買ってきてくれ、お前らに半分やる」
二童は銭を握って表へ飛び出る。省作は茶でも入れべいと起った。
二
翌朝、省作はともかくも深田に帰った。帰ったけれども駄目であった。五日ばかりしてまた省作は戻ってきた。今度はこれきりというつもりで、朝早く人顔の見えないうちに、深田の家を出たのである。
母は折角言うていったんは帰したものの、初めから危ぶんでいたのだから、再び出てきたのを見ては、もうあきらめて深く小言も言わない。