Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はまぎく

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (はまぎく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.907 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

お松は艶のよくない曇ったような白い顔で、少し面長な、やさしい女であった。いつもかすかに笑う其目つきが忘れられなくなつかしかった。お松もとると十六になるのだと姉が云って聞かせた。お松は其時只かすかに笑って自分のどこかを見てるようで口は聞かなかった。

朝飯をたべて自分が近所へ遊びに出ようとすると、お松はあわてて後から付いてきて、下駄を出してくれ、足袋の紐を結び直してくれ、緩んだへこ帯を締直してくれ、そうして自分がめんどうがって出ようとするのを、猶抑えて居って鼻をかんでくれた。

お松は其時もあまり口はきかなかった。自分はお松の手を離れて、庭先へ駈け出してから、一寸振りかえって見たら、お松は軒口に立って自分を見送ってたらしかった。其時自分は訳もなく寂しい気持のしたことを覚えて居る。

お昼に帰って来た時にはお松は居なかった。自分はお松は使にでも行ったことと思って気にもしなかった。日暮になってもお松は居なかった。毎晩のように竈の前に藁把を敷いて自分を暖まらしてくれた、お松が居ないので、自分は始めてお松はどうしたのだろうかと思った。姉がせわしなく台所の用をしながら、遠くから声を掛けてあやしてくれたけれど、いつものように嬉しくなかった。