Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はまぎく

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (はまぎく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.907 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

結局よんどころないと云う事で、自分は母と一緒に出掛けることになった。お松は「仕様がないねえ坊さん」と云って涙ぐんだ。「又寄ってください」と云うのもはっきりとは云えなかった。そうして自分を村境までおぶって送ってくれた。自分も其時悲しかったことと、お松が寂しい顔をうなだれて、泣き泣き自分を村境まで送ってきた事が忘れられなかった。

「さアここでえいからお松おまえ帰ってくれ」

と母が云っても、お松はなかなか自分を背から降ろさないで、どこまでもおぶって来る。もうどうしてもここでとおもう処で、自分をおろしたお松は、もうこらえかねて「坊さんわたしがきっと逢いにゆくからね」と自分の肩へ顔をあてて泣いた。自分もお松へ取りついて泣いた。母は懐から何か出してお松にやった。お松は頻りに辞退したのを、母は無理にお松にやって、自分をおぶった。お松はそれでも暫くそこに立っていたようであった。

それきり妙に行違って、自分はお松に逢わなかった。それでも色のさえない元気のない面長なお松の顔は深く自分の頭に刻まれた。

七八年過ぎてから人の話に聞けば、お松は浜の船方の妻になったが、夫が酒呑で乱暴で、お松はその為に憂鬱性の狂いになって間もなく死んだという事であった。