Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぎくのはか

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (のぎくのはか) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.539 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

言わば未だ取止めのない卵的の恋であるから、少しく心の力が必要な所へくると話がゆきつまってしまうのである。

お互に自分で話し出しては自分が極りわるくなる様なことを繰返しつつ幾町かの道を歩いた。詞数こそ少なけれ、その詞の奥には二人共に無量の思いを包んで、極りがわるい感情の中には何とも云えない深き愉快を湛えて居る。それでいわゆる足も空に、いつしか田圃も通りこし、山路へ這入った。今度は民子が心を取り直したらしく鮮かな声で、

「政夫さん、もう半分道来ましてしょうか。大長柵へは一里に遠いッて云いましたねイ」

「そうです、一里半には近いそうだが、もう半分の余来ましたろうよ。少し休みましょうか」

「わたし休まなくとも、ようございますが、早速お母さんの罰があたって、薄の葉でこんなに手を切りました。ちょいとこれで結わえて下さいな」

親指の中ほどで疵は少しだが、血が意外に出た。僕は早速紙を裂いて結わえてやる。民子が両手を赤くしているのを見た時非常にかわいそうであった。こんな山の中で休むより、畑へ往ってから休もうというので、今度は民子を先に僕が後になって急ぐ。八時少し過ぎと思う時分に大長柵の畑へ着いた。