Japanische Klassiker mit Furigana
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のはぎ
野萩
久生 十蘭
Lesen Sie 野萩 (のはぎ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.480 Zeichen · 21 Bildschirme
なんなのさ、って怒ったでしょう。あんな情けないことはなかったわ」
安は、おっとりと笑って、
「なけれァ、ないって、いやいいのよ。あんな、しみったれた飲ませかたをするから……でも、エッフェル塔はよかったねえ。エレヴェーターを降りてから、階段をあがらせられたのには弱ったけど、あの景色だけは、いまでも忘れない」
「四階の展望台で、ポンポンと拍手を打って、お日さま拝みだしたのは、えらかったわね」
そんなことをいっているうちに、このながい間、聞こうと思いながら、つい、聞きそびれていたことを思いだした。
「ねえ、聞きたいことがあるのよ……エッフェル塔を降りて、下のシャン・ド・マルスを歩いているとさ、だしぬけに、あっ、若旦那って大きな声をだしたでしょう?……あれは、なんだったの?」
安は大袈裟に首をひねって、
「おぼえていないね。なにか、あなたの聞きちがいでしょう」
と、わからない顔をしてみせた。
とぼけたりするところをみると、たしかに、なにかあったのらしいが、伊作を庇いだすと、挺にもおえなくなるのが、むかしからの例だから、これはもう、きいても無駄だと思って、せんさくをするのはやめにした。