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Japanische Klassiker mit Furigana

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のみち

野道

幸田 露伴

Lesen Sie 野道 (のみち) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.584 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

途端に恐ろしい敏捷さで東坡巾先生は突と出て自分の手からそれを打落して、やや慌て気味で、飛んでもない、そんなものを口にして成るものですか、と叱するがごとくに制止した。自分は呆れて驚いた。

先生の言によると、それはタムシ草と云って、その葉や茎から出る汁を塗れば疥癬の虫さえ死んでしまうという毒草だそうで、食べるどころのものでは無い危いものだということであって、自分も全く驚いてしまった。こんな長閑気な仙人じみた閑遊の間にも、危険は伏在しているものかと、今更ながら呆れざるを得なかった。

ペンペン草の返礼にあれを喫べさせられては、と土耳舌帽氏も恐れ入った。人々は大笑いに笑い、自分も笑ったが、自分の慙入った感情は、洒々落々たる人々の間の事とて、やがて水と流され風と払われて何の痕も留めなくなった。

その日はなお種々のものを喫したが、今詳しく思出すことは出来ない。その後のある日にもまた自分が有毒のものを採って叱られたことを記憶しているが、三十余年前のかの晩春の一日は霞の奥の花のように楽しい面白かった情景として、春ごとの頭に浮んで来る。

(昭和三年五月)