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Japanische Klassiker mit Furigana

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きんしょうぐん

金将軍

芥川 竜之介

Lesen Sie 金将軍 (きんしょうぐん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.699 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

ある冬の夜、行長は桂月香に酌をさせながら、彼女の兄と酒盛りをしていた。彼女の兄もまた色の白い、風采の立派な男である。桂月香はふだんよりも一層媚を含みながら、絶えず行長に酒を勧めた。そのまた酒の中にはいつの間にか、ちゃんと眠り薬が仕こんであった。

しばらくの後、桂月香と彼女の兄とは酔い伏した行長を後にしたまま、そっとどこかへ姿を隠した。行長は翠金の帳の外に秘蔵の宝剣をかけたなり、前後も知らずに眠っていた。もっともこれは必ずしも行長の油断したせいばかりではない。この帳はまた鈴陣である。誰でも帳中に入ろうとすれば、帳をめぐった宝鈴はたちまちけたたましい響と共に、行長の眠を破ってしまう。ただ行長は桂月香のこの宝鈴も鳴らないように、いつのまにか鈴の穴へ綿をつめたのを知らなかったのである。

桂月香と彼女の兄とはもう一度そこへ帰って来た。彼女は今夜は繍のある裳に竈の灰を包んでいた。彼女の兄も、――いや彼女の兄ではない。王命を奉じた金応瑞は高々と袖をからげた手に、青竜刀を一ふり提げていた。彼等は静かに行長のいる翠金の帳へ近づこうとした。すると行長の宝剣はおのずから鞘を離れるが早いか、ちょうど翼の生えたように金将軍の方へ飛びかかって来た。