Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
「あたしのためなら、どうぞ放っておいてちょうだい。……いらしたかったら、あなたひとりでいらしていいのよ」
これで、言いたいことをいった、と思った。久我は暗い眼つきをして、葵のそばから身体をひくと、
「……いまは、いろいろに言うまい。……僕は本庁へ行ってくる。……ひとりで、よく考えておいてくれたまえ」
つづいて、イライラと立ちあがると、投げつけるように、いった。
「考えることなんか、なにもありやしないわ。警視庁だろうが、検事局だろうがあたしはもう恐わくはないんです。……いつでも行って見せてよ。あたしの過去さえ告白する気なら、びくびくすることはいらないの。……そうしたらもう、あなたともそれで……」
久我はとりあわずに、ゆっくり扉をしめて出て行った。
カーテンをおし開けて事務室へはいってゆくと、薄暗い隅の長椅子に乾と朱砂ハナが並んで、なにかこそこそと話をしていた。
葵を見ると、乾は、ついと立ち上って、あざとい愛想笑いをしながら、
「お、葵嬢。……いまお部屋へ推参しようと思っていたところです。その後、ますますご濃厚の趣で、まことに大慶至極です」
ハナも長椅子の上で腰を浮かせながら、