Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
大きなことをいったら、とっちめてやる」
虚勢を張っているようなところもあった。乾は、子供のように手をうち合わせながら、叫んだ。
「そう、そう、……おやんなさい、おやんなさい!」
西貝は、立ちあがると、どすん、どすんと足を踏みしめながら、そのほうへ歩いていった。乾は眼をキラキラ輝やかせながら、熱心にそっちを眺めていた。西貝は、皿のなかへうつむいている男のそばへ近づく。そこで歩調をゆるめて、じろじろと、しつこくその顔を眺め、それから、広間の奥の手洗所へはいって行った。
食事がすむと、西貝と乾は、ひと足さきに帰る、と、いいだした。もう、大ぶいい機嫌で仲よく肩をならべながら出て行った。
しばらくの後、葵は、臆病そうに口をきった。
「送ってちょうだい。……ひとりでは、うち、恐ろし……」
久我は、それに返事せずに、笑いながら、
「さっきの司法主任の話、あれ、出まかせです。乾老が、つまらないことをいつまでも喋言ってるから、ちょっと黙らして見たんです。……これで、なかなかひとが悪いところもあるでしょう。……(すこし真面目な顔になって)葵さん、あなたはもう喚びだされることはありませんから、心配しなくても大丈夫です」