Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
復一は始めはそれほどとも思わなかった。次に、これはよほど酷いと思うようになった。山の手は助ったことが判ったが、とにかく惨澹たる東京の被害実状が次々に報ぜられた。復一は一応東京へ帰ろうかと問い合せた。
「ソレニハオヨバヌ」という返電が、ようやく十日ほど経って来て、復一はやっと安心した。
鼎造から金魚に関する事務的の命令やら照会やらが復一へ頻々と来だした。
復一が、こういう災害の時期に、金魚のような遊戯的のものには、もう、人は振り向かないだろうと、心配して問合わせてやると、鼎造からこう云って来た。
「古老の話によると、旧幕以来、こういう災害のあとには金魚は必ず売れたものである。荒びすさんだ焼跡の仮小屋の慰藉になるものは金魚以外にはない。東京の金魚業一同は踏み止まって倍層商売を建て直すことに決心した」
これは商売人一流の誇張に過ぎた文面かと、復一は多少疑っていたが、そうでもなかった。二割方の値上げをして売出した金魚は、たちまち更に二割の値上げをしても需要に応じ切れなくなった。
下町方面の養魚池はほとんど全滅したが、山の手は助かった。それに関西地方から移入が出来るので、金魚そのものには不自由しなかったが、金魚桶の焼失は大打撃であった。