Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
「実は、調子に乗って鯉と鰻の養殖にも手を出しかけているんだが、人任せでうまく行かないんだ。同じ淡水産のものだからそう違うまい。君に一つその方の面倒を見て貰おうか。この方が成功すれば、金魚と違って食糧品だから販路はすばらしく大きいのだ」
もちろん復一は言下に断った。
「だめですね。詩を作るものに田を作れというようなもんです。そればかりでなく、お願いしておきますが、僕には最高級の金魚を作る専門の方をやらせて下さい。これなら、命と取り換えっこのつもりでやりますから」
「僕は家内も要らなければ、子孫を遺す気もありません。素晴らしく豊麗な金魚の新種を創り出す――これが僕の終生の望みです。見込み違いのものに金をつぎ込んだと思われたら、非常にお気の毒ですが」
復一の気勢を見て、動かすべからざることを悟った鼎造は、もう頭を次に働かせて、彼のこの執着をまた商売に利用する手段もないことはあるまいと思い返した。
「面白い。やりたまえ。君が満足するものが出来るまで、僕も、催促せずに待つことにしよう」
鼎造自身も、自分の豪放らしい言葉に、久し振りに英雄的な気分になれたらしく、上機嫌になって、晩めしを一しょに喰いたいけれども、外せぬ用事があるからと断って、真佐子と婿に代理をさせようと、女中に呼びにやらして、自分は出て行った。