Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
「真佐子さん、あなたは変ってるわね」
「そうかしら。あたしはあなたがいつかわたしのことおっしゃったように、実際、蒼空と雲を眺めていて、それが海と島に思えると云った性質でしょうね」
復一はそっと庭へ降りて来て、目だたぬ様に軒伝いに夕暮近い研究室へ入った。復一はそこの粗末な椅子によってじっと眼を瞑った。彼は近頃ほとんど真佐子と直接逢ってはいない。今日のように真佐子が中祠堂に友人と連れ立って来ても子供や夫と来てもほとんどそこで云う真佐子達の会話は聞き取れない。だが復一は遠くからでも近頃の真佐子のけはいを感じて、今は自分に托した金魚の事さえ真佐子は忘れているかも知れない、真佐子はますます非現実的な美女に気化して行くようで儚ない哀感が沁々と湧くのであった。
蘭鋳から根本的に交媒を始め出した復一はおよその骨組の金魚を作るのに三年かかった。それから改めて、年々の失敗へと出立した。
「日暮れて道遠し」
復一は目的違いの金魚が出来ると、こう云った。しかし、ただ云うだけで、何の感傷も持たなかった。ただ、いよいよ生きながら白骨化して行く自分を感じて、これではいけないとたとえ遠くからでも無理にも真佐子を眺めて敵愾心やら嫉妬やら、憎みやらを絞り出すことによって、意力にバウンドをつけた。