Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 31 Bildschirme
これで、すべてがおわったのでは、自分たちの老いた心に、あまりにも残酷すぎる。こんなはずはないのだ――ふたりは、そう信じきっているようだった。今に、何かきっと、いいことが起る。なにもかも、とど笑いばなしになるような、素晴らしい突発事が、近く待っていなければならない。
そして、庄公は帰宅ってくる。必ず、にこにこ笑って、かえってくる!
と、固く、思いこんでいるようすなのだ。
が、日を経るにつれて、この、考えてみると根拠のない期待は、薄らぐ一方だった。万一の儚ない希望が、しんしんと心を刻む痛さ、寒さに、置き代えられて来た。
おこうも惣平次も、言葉を交さなかった。口をきかなかった。何も、いうことを有たないのだった。日が、長かった。夜は、もっと長かった。
やがて、初七日の今夜だった。
通夜をするような心持ちで、壁を背に、じっと坐している藤吉に、細い、低い、押し潰れた声が、聞えて来た。
また、おこうが、涕り泣いているのだった。
「寒い。二階へ上って、寝ろよ。」
惣平次が、言った。
「つめたい石の下で、庄坊こそ、どんなに寒いことか――。」
おこうは、こう言って、泣き声を新たにした。