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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「そうじゃないんだよ。わからない人だねえ。」

おこうは、奇怪に、少女めいた声音になって、しなだれかかるように、

「もう一つだけ、願ってみようよ。よう、もう一つだけさ。はやく、竜手様をお出し! さ、庄公が、今すぐ立派に生き返りますようにって、ね、願うんですよ。」

暗い隅から、藤吉は、光った眼を上げて、固唾を呑んだ。

ひっそりと、沈黙がつづいた。

「何をいう――気でも違ったのか。」

「お出し! 竜手様をお出しってば! しっかり、お願いするんだよ。たった今、庄太郎が生きかえって来ますように――。」

惣平次は、手を、妻の肩へやって、優しく、

「寝な。な、寝なよ、二階へ上って、よ。」

おこうが、激しく振り切って、老夫婦は、二人でよろめいた。

「おこう、お前は、どうかしているな。」

「どうもしてやしませんよ。初めの願いが叶ったのだから、二番目の願いも、聞き届けられるにきまってるじゃないか。竜手さまを持っておいでというのに、どうして持って来ない。ようし! どうあっても、願わないか。」

眼が、血走って来た。白髪が、顫えて、顔へかかった。

はじめて気がついたように、ちらと藤吉を見て、惣平次は、平らな声を出そうとつとめた。