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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.319 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが、世間の思惑と葬式の資金に困った平兵衛は、気も顛倒していたものとみえて、普段あれほど恐れ戦いていたこの水無井戸へ、おりんの屍を投げ込もうと決心したのである。

夜ひそかに土を掘り石を除いた平兵衛を、そこに一つの怪異が待ち構えていた。道六神の石標が六に準えた六角形の自然石、赤黄色を帯びて多分に燐を含む俗にいう鬼火石であることに平兵衛は気がつかなかった。また、その岩質が非常に脆く、永年土中に在って雨水異物を吸って表面がぼろぼろに朽ち果てたところから、井戸一帯に燐の粉が零れて、それに鬱気を生じ、井戸の中、覆の石、周りの土までが夜眼にも皓然と輝き渡っていたその理を、彼は不幸にも弁えなかったのだ。

平兵衛は胆を潰した。無我夢中で死骸を投り込むと、元のとおりに石と土とで井戸を蔽って、その夜は眠られぬままに顫えて明かし、翌日からおりん失踪の件をいと真実しやかに触れて歩いた。

初七日はちょうど精霊迎えだった。その暮方のことだった。釜の火を落していた平兵衛が背後に人気を感じて何心なく振り返ると死んだ女房、古井戸の底に丸くなっているはずのおりんが、額へ三角の紙を当てて、そっくり白の装束でいつの間にかかいがいしく鮫魚の伸棒を洗っていた。