Japanische Klassiker mit Furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.998 Zeichen · 32 Bildschirme
同勢二十四、五人、わいわい言いながら笠森稲荷の前から同朋町は水野大監物の上屋敷を通って、田町の往還筋へ出たころから、ぽつぽつ降り出した雨に風さえ加わって、八つ山下へ差しかかると、もうその時は車軸を流す真物の土砂降りになっていた。葦簾を取り込んだ茶店へ腰かけて、しばらくは上りを待ってみたものの、降ると決まったその日の天気には、いつ止みそうな見当さえつかないばかりか、墨を流したような大空に、雷を持った雲が低く垂れ込めて、気の弱い芸者たちは顔の色をかえて桑原くわばらを口のうちに呟き始めるという、とんだ遠出の命の洗濯になってしまった。
が、なんと言ってもそこは諦めの早い江戸っ児たちのことだから、そういつまでも空を白眼んでべそをかいてばかりもいなかった。結局この大風雨を好いことにして、誰言い出すともなく、現代の言葉で言う自由行動を採り出して、気の合った同士の二人三人ずついつからともなく離ればなれに、そこここのちゃぶ屋や小料理屋の奥座敷へしけ込んで晴れを待つ間を口実に、甘口は十二カ月の張り合いから、上戸は笑い、泣き、怒りとあまり香ばしくもない余興が出るまで、差しつ差されつ小酒宴に時を移して、永くなったとはいうものの、小春日の陽脚が早やお山の森に赤あかと夕焼けするころ、貝の代りに底の抜けた折や、綻びの切れた羽織をずっこけ